一年に1回のスコップ
タイパを気にするほど、コスパが悪い。よくわからないことは、一度やってみるといい。
2026年 6月7日 日曜日。
毎年恒例の、『農地作業』の日がやってきました。
田舎に住んでいると、こうして年に数回、
みんなで協力して、畑や田んぼの周りの整地を行う村行事があります。
その中でも、今日の作業は、
本当に嫌いで、1日通しての作業なんです。
『なんでこんなことしなあかんのよ….』
と、いつものように嫌気がさしながら向かったわけですが、帰った時は、
『いや、出て良かった!楽しかったなぁ…..』
と思ってしまう自分がいたのです。
(思ってしまった自分が悔しい!!)
というのも、
じーさんたちの、究極の無駄話の中には
1割だけ、本質が混ざる話があって、
認めたくないけど、勉強になったんですよね。(つまり9割は無駄!!)
あ、そうそう!
この記事を書こうと思ったのは、「ピートンさん」とのコメントのやり取りがあったからです。
ピートンさん、ありがとうございます!
ということで、今回は、農地作業を終えて、
【ただただ、思ったことを言いたい放題書いてやろう】
という、荒業を試みたいと思います。
もちろん、ノンフィクションのリアルでお届けいたします。
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イボ男の蟻知識
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AM,8:00.
家の近くの「ふれあい会館」に集合する我が村人たち。
そもそも、「ふれあい会館」とはなんぞや?
『公民館』でいいじゃないか。
『そこで触れ合ったことなんてないぞ』
なんて、朝から心の文句を唱えつつ、とりあえず、時間ギリギリに到着。
到着とかっこよく伝えたが、家から20秒だ。
そして、僕が一番遅かった。
今日の予定は、
【午前】畑地農道の補修 他
【午後】畑地水路の土砂上げ 他
しんどい。
見るからに力作業である。
そして、『他』という単語は全力で消したい。
できれば、草刈り班の選ばれたいところだが、
もう事前に決まっているらしい。
羨ましいぜ、草刈り部隊。
思う存分、その武器を振り回してきてくれ。
僕は、1班に振り分けられたから、
午前中は、畑農道の砂利引きだ。
スコップを片手に、とにかく砂利を敷き詰める作業。
こんな湿気が多い福井で、日中にやることじゃない。
湿気がなくてもやりたくない。
そんな気持ちのまま、2tトラックの荷台に乗り、畑地帯に向かった。
毎年、この時期に砂利を引くが、
1年経つと、その砂利がなくなってしまう。
そもそも、砂利はどこに行ってるんだ?
なくなるなら、やっても意味がないのではないか?
と、めちゃくちゃタイパが悪いなぁって愚痴りつつ、渋々、トラックを降りる。
どんどん、砂利が運ばれてくるから、
さすがの僕も、
『さ、やるか!!!!』
と、無理やりにでも気合いを入れる。
………そんな時だ。
後ろから、【ウイィイイイイイイン】という乗り物音が。
小型特殊が来た。
待て待て待て。
重機があるなら、こんなに人数いる?
少なくとも、10人はおるで?
ほら、みんなスコップ片手に、
機械が砂利を慣らしてるのを見てるだけやん。
何の時間なん?
めっちゃ暇な時間が2時間できたってわけですよ。
そこで始まるのが、じーさんたちの究極の無駄話。
通っているの皮膚科の話
近所のおばさんのゴシップネタ
育っているメロンへの対抗心
などなど。
自分の時間を使って聞く話ではないことばかりだ。
そんな中、僕は、
奇跡的に足元の蟻の行列に気づいた。
どれだけ暇だったか予想できるだろう。
とてつもなく長く、立派な蟻の参勤交代だった。
『あ、すんごい長い蟻の行列ありますよ!』
僕はとりあえず、
話のネタとしてじーさんたちに声をかけた。
『おー、ほんとやねぇ、長いねぇ』
と、一人のおじさんが反応してくれた。
『何で蟻は、こんなに隊列を乱さずに歩けるんですかね??』
と、僕は聞いた。
すると、一人のおっさんがぼそっと答えた。
このおっさん、首にやたらとデカい『イボ』がある男だ。
『………体臭。体臭で蟻は列を作っている…..』
なぬ!?体臭なのか!?
いや、そんなことより、このイボ男。
僕の家の前の電柱に、派手に車をぶつけて、
ウチを停電にしたあの男じゃないか。
忘れたとは言わさんぞ。
その後も、謝りにも来なかったじゃないか!
僕は今まで、そのイボ男を嫌厭していた。
それがなんだ?
蟻の『体臭』の性質を教えてくれたじゃないか。
この一言で、僕のワダカマリは少し解けた。
その一言以外、全く話さなかった。
しかし、『体臭』という一言だけで、
相手の心を開かせたコヤツ。
只者ではない。
コスパやタイパだけを考えて、この作業を欠席していたら
このワダカマリはずっと続いていたに違いない。
STOP !! タイパコスパ。
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スコップじーさん
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昼の部 13:00.
イボ男は置いといて、
昼からは、畑農地のドブ堀り作業だ。
これがまたしんどい。
『雨が降ったら中止で!』なんて言ってたけど、絶対に継続するのはわかってる。
人生、そんなに甘くない。
だが、誰もが雨を望んでいる。
長靴で、側溝に入り、
スコップで泥をガシガシすくう。
すくった泥は、次の雨でまた側溝に戻る。
なんて無意味なんだ。
村の行事は、この【カタチ上の作業】が必要なんだ。
なぜなら、県や市からの補助金が入るから。
補助金なんかいらねーから、
時間を取らないでいただきたい。
そんな心の叫びを横目に、僕はまた、
何とかしてじーさん達に話しかけて時間を潰そうと試みていた。
周りを見渡すと、デカい『ビニールハウス』があった。
普通のハウスくらいでは、何も思わないが、
とにかくデカくてカッコいいのだ。
長さは、 80メートル程あって、屋根が三角でカッコいい。
語彙力がないから、これを読んでいる皆さんが、
このハウスをイメージしにくいことはわかっている。
僕は、ビニールハウスが好きだ。
雨も凌げるし、日差しは入るし、あったかい。
夏は暑いけど、側面のビニールをまくれば風も入る。
「ビニールハウスビジネス」も考えているくらいだ。
『あのハウス….建てるとどれくらい金かかるんすかね??』
ふと、目の前で、スコップ片手にサボっているじーさんに聞いてみた。
『こりゃ、500万はかかるわな。一棟で。一棟やで?』
なぬ!?
さっきまで、行きつけの皮膚科の自慢話をしていたじーさんが、
ハウスの金額を教えてくれている。
『マジですか!?高すぎですね!!いや、ハウス建てようと考えたこともあって…』
僕は、驚いて答えた。
するとスコップじーさんは、サボりやめずに答えた。
『んー、君は”かつお君”だっけ??ここでハウスしたいの?』
『やめときよ。冬の水、どうするん??』
….冬の水?
何言ってんだこのじーさん。
用水路もあるし、水なんていくらでも出せるじゃないか。
でも一応、聞いてみた。
『水って、普通に出るじゃないですか?何でそんなこと言うんですか??』
すると、サボりじーさんは、
『ヒャッハハハ。かつお君、冬は雪で農道が通れないから、水は止められるんじゃよ』
『管轄している部署は、無駄に水道量は払いたくないじゃろ?』
『だから、冬は何もできんのじゃよ〜』
なんたる初耳。
この方、ただサボってるだけじゃなかったんだ。
この土地には、自分の家の畑もあるし、
昔はスイカ・メロンも作っていたから、ある程度わかっていると思っていたけど。
まさか、水が故意的に出なくなる期間があるとは。
コスパやタイパだけを考えて、この作業を欠席していたら
危うくビニールハウス地獄にハマるところだった。
ありがとうスコップ。
STOP !! タイパコスパ。
作業を終えて家に帰る頃には、
僕はぐったりだった。
長靴は泥だらけだし、腰は痛い。
加えて、服は汗でベタベタ。気持ち悪い。
やっぱり農地作業なんて、できれば出たくない。
それは今でも変わらない。
変わらないのだが……。
悔しいことに、
今日は少しだけ、出てよかったと思ってしまった。
蟻は体臭で列を作ることを知った。
(ほんとかどうかは知らないけど、そんなことはどうでもいい!!)
嫌厭していたイボ男へのワダカマリが少し解けた。
ビニールハウスには冬の水問題があることを知った。
危うく、知らないままハウスビジネスの手をつけるところだった。
つまり、めちゃくちゃ嫌だった農地作業の中に、ちゃんと「拾えるもの」があったのだ。
最近は、なんでもタイパだ、コスパだと言われる。
飲み会はタイパが悪いだとか。
地域行事はコスパが悪いだとか。
たしかに、そう思う気持ちはめちゃくちゃわかる。
僕もそっち側だし。
でも、今日だけは少し思ってしまった。
最初から「無駄」と決めつけて動かないことが、
実は一番コスパが悪いのかもしれない。
無駄話の9割は、やっぱりスーパー無駄だった。
これはもう間違いない。
でも、その中に混ざっていた1割の本質は、
今日、ここに来なかったら絶対に拾えなかった。
イボ男の意外な知識も、スコップじーさんの農地の知恵も。
全部、現場に行ったから知れたことだ。
新しい「気づき」とか「発見」ってのは、
待っているだけでは、なかなか出会えない。
めんどくさい場所に行って、
しょうもない話を聞いて、
「なんでこんなことしてるんやろ??」
って思いながら動いた時に、
案外、巡り会えたりするんじゃないかなって。
タイパが悪そうでも、
コスパが悪そうでも、
最初から切り捨てるのは、ちょっとだけ待ってみるのがいいと思う。
行ってみたら、案外なにかあるかもしれない。
もちろん、
来年の農地作業が楽しみになったわけでは決してない。
できれば大雨であってほしい!!
でも、
もしも、また行くことになったら、
僕はたぶん、スコップを持って、
暇そうなじーさんに、無駄な話を持ちかけると思う。
「今日も9割は無駄やろな」
「でも、1割くらいは何か拾えるかもしれん」
それくらいの気持ちで、参加したい。
そんなこんなで、今日の結論。
STOP !! タイパコスパ。
無駄なことの中に、本質が眠ってるのかもしれません。
・・・・蟻の体臭ってほんとなのか、調べてみよう
【あとがき】
この記事を書き終わった後も、思います。
『絶対に、砂利作業は人数いらないだろ!』って。
でも、多分、
そんな無駄な時間が、交流できる時間になったりして、
村の輪を繋げていっているのかな?とも思います。
休憩の時は、アイスを食べながら
ハウスメロンのうんちく講座が始まったり、
小雨が降ってきたら、『中止だ!中止じゃないか!!』と
やたら騒ぐおっさんがいたり。
そんな光景って、
田舎の集落ならではなのかなぁって思うと、
こういう無駄に見える時間こそ、価値があるようにも思えます。
もちろん、
効率よく終わったら理想ですが、
それだけを求めて作業するのは、面白さに欠ける気がして。
コスパを考える中にも、
「めんどくさいこと」とか、「手がかかること」
を残していくことで、新しい発見があったりするものだと思います。
そして、来年の農地作業は、親父に任せて、
僕は家で、ネットフリックスを見てようと思います。
ダメじゃん。












こんにちは♪
かつおさんの9割ムダだった時間が、ここで私達への笑いと学びにつながっている!😂ならばむしろ有益な経験だった、と受け止めました!また楽しみにしています(笑)
イボ男のくだりで声出して笑ってました😂田舎のおじいちゃんたちの会話からひとすくいの貴重な情報をつかみとってきたカツオさん、おつかれさまでした!